介護現場のコミュニケーションがつらい人へ|苦手な利用者さんと距離を取ってもいい理由
― 介護職員は天使じゃない。自分を守ることも仕事です ―
利用者さんとのかかわりで、つらいと思ったことはありませんか?
- 嫌なことを言われて、傷ついた
- 怖くて苦手な利用者さんがいる
- 夜勤一人でどう対応したらいいか分からない
介護の仕事ではこういった悩みが尽きないと思います。
実は、
一時的に距離を取る対応も介護の大切な選択です。
利用者さんも大切ですが、あなた自身の心と身体も同じくらい大切にしていいからです
私は特別養護老人ホームで介護福祉士として20年間働き、
何度も失敗し、悩み、利用者さんに教えてもらいながら、コミュニケーションについて学んできました。
この記事では、介護の仕事がつらいと感じている人に
「苦手な利用者さんと距離を取る具体的な方法と考え方」
を、やさしく・わかりやすくまとめています。
この記事を読むと…
- 苦手な利用者さんがいてもいい
- 嫌なことを言われたときはどう対応するか
- 夜勤で一人のときはどう対応するか
- 利用者さんだけでなく、自分も大切にしようと思う
こういった変化が自然に生まれます。
自分を守る選択は、冷たいことでも逃げでもありません。
長く働くために必要な、大切な判断です。
介護職員は「いつも優しく」しなきゃいけない?

介護職員は、どんなときでも利用者さんに笑顔と敬意をもって接することが求められる仕事です。
体力的にも精神的にも大変で、毎日、本当に頑張っていると思います。
そして、優しい人が多いと思います。
ただ、理不尽なことも多い仕事。
さまざまな病気や、生活歴のある利用者さんとの間にトラブルやつらいことも多いと思います。
そんなとき、無理に笑顔を振る舞おうとしていませんか?
一人で悩みをかかえ込んでいませんか?
苦手な利用者さんがいてもいい
利用者さんには優しく、平等に接したいと思いますよね。
でも人と人、どうしても相性はあります。
苦手な利用者さんがいるからといって、あなたが悪いわけではありません。
介護職員にも感情があります。
ですが、ひとつだけ大切なことがあります。
苦手だからといって介護の質を下げてはいけません。
笑顔で接する、必要な介助を行うなど、基本的な対応は大切です。
これは「好き・嫌い」の問題ではなく、仕事としての責任です。
「一時的に離れる」という選択もある

介護現場では、誠実に丁寧に対応していても、心が深く傷つく出来事が起こることがあります。
- 強い口調で怒られる
- 理不尽な言葉を投げられる
- 手を振り払われる
- 身体的な接触を受けることがある
本当に精神的にしんどくなり、心に大きな負担がかかります。
そんなときは、無理に関わり続ける必要はありません。
- 短時間で部屋を出る
- 他の職員と交代する
- 同じ職員が続けて対応しない
こうした「距離を取る対応」も、介護の大切な選択です。
利用者さんから一度離れることは、放棄ではありません。
自分の心と安全を守るための対応です。
利用者さんも大切ですが、あなた自身の心と身体も同じくらい大切にしていいのです。
利用者さんとの関わりがうまくいかず、不安になることもありますよね。
そんな時は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶︎介護でコミュニケーションに失敗しても大丈夫な理由と対処法
夜勤で一人のとき、どう対応すればいい?
夜勤は、どうしても一人で判断しなければいけない場面が多くなります。
- 逃げ場がない
- 誰にも相談できない
- 判断を迫られる
本当にしんどいですよね。
だからこそ、私は夜勤のとき、こう考えるようにしています。
- 利用者さんの安全は守られているか
- 自分の安全は守られているか
- 今すぐ対応が必要か
この3つだけを考える。
それ以外は、夜勤中に無理して結論を出さなくていいんです。
無理をすると、心も体もすり減ってしまいます。
夜勤でトラブルがあったときは、完璧に対応しようとするのではなく、
「無理せず次につなぐことが大切」です。
夜勤中は、できる対応に限界がある

夜勤で大切なのは「判断を抱え込まないこと」
- その場で全部解決しなくていい
- 一人で背負わない
- 翌日チームにつなぐ
それだけで、十分に責任ある対応です。
あなたが感じている「しんどさ」は、弱さではありません。
それだけ責任を持って向き合っている証拠です。
夜勤は、判断力も体力も消耗します。
だからこそ「その場で完璧な対応」を目指さなくて大丈夫です。
実際にあった限界を感じた経験
私も過去に、利用者さんから明らかに不快な言動を受けたことがあります。
冗談では済まされない内容で、正直とても怖く、つらかったです。
そのときは一人で抱え込まず、記録には「性的な発言があった」と事実だけを書き、
詳しい内容は上司に伝えました。
結果として、施設長の判断でその利用者さんの介助から外れることになりました。
当時は「ここまでしてよかったのかな」と迷いましたが、
今振り返ると、自分を守るために必要な判断だったと思っています。
我慢し続けることが、良い介護ではない
その経験から強く思ったのは、
・我慢し続けることが、必ずしも正解ではない
・距離を取ることも、立派な判断だということ
「仕事だから我慢しなきゃ」と思い込んでいましたが、それが心をすり減らす原因になっていました。
報告するとき、いちばん悩んだこと
正直に言うと、セクハラや暴言を報告するとき、真っ先に浮かんだのは、
いつも面会でお会いする利用者さんのご家族さんでした。
「奥さんショックだろうな」
「ここまで言っていいのかな」
そう思って、何度も迷いました。
でも上司に言われた一言で、考えが変わりました。
ご家族さんへの説明は、施設の役割。
あなたは自分を守っていい。
この言葉で、ようやく気持ちが楽になりました。
自分を守ることは、逃げじゃない

私たちがやるべきことは
- 事実を記録する
- 上司に報告する
- 自分の身を守る
それだけです。
「ご家族さんがかわいそうだから」と我慢してしまうと、
一番傷つくのは、現場で働く自分自身です。
自分を守る選択は、冷たいことでも逃げでもありません。
長く働くために必要な、大切な判断です。
もし職場が対応してくれなかったら
正直、すべての職場がきちんと対応してくれるわけではありません。
相談しても流されたり、「仕方ない」で終わることもあります。
そんなときは、
環境を変えるという選択肢を持つことも大切です。
我慢し続ける前に、「他の道もある」と知っておくだけで、心は少し楽になります。
人間関係に疲れたときの「派遣・単発バイト・転職」の選び方はこちらの記事で詳しくまとめています。
▶︎介護の人間関係に疲れたら|派遣・単発バイト・正社員(転職)という3つの逃げ道
まとめ
介護の仕事は、優しさだけでは続けられません。
「苦手な利用者さんがいてもいい」
「うまく関われない日があってもいい」
それはあなたが冷たいからではなく、人として自然な感情です。
大切なのは、
- 一人で抱え込まないこと
- 無理をしすぎないこと
- 自分を守る選択をしていいと知ること
利用者さんを大切に思えるあなたは、
もう十分がんばっています。
どうか、自分の心も同じくらい大切にしてください。