介護のコミュニケーションが苦手な人へ|利用者さんを怒らせた・拒否されたときの関係修復と対応法
利用者さんとのコミュニケーションで、
「うまくいかなかった…」
「関係が壊れてしまったかも…」
そんな不安を感じたことはありませんか?
- 利用者さんを怒らせてしまった
- 拒否されてしまった
- 関係がぎくしゃくした気がする
- もう関わるのが怖い
介護のコミュニケーションが苦手だと感じると、
こうした悩みは誰にでも起こります。
経験を重ねていても、完全になくなることはありません。
でも実は、
利用者さんとのコミュニケーションで失敗しても、
関係は修復することができます。
なぜなら、コミュニケーションの失敗は
「丁寧で誠実な対応」と「適切な謝罪」を重ねることで、
十分に関係を立て直せるからです。
私は特別養護老人ホームで介護福祉士として20年間働き、
何度も失敗し、悩み、利用者さんに教えてもらいながら
介護現場でのコミュニケーションについて学んできました。
この記事では、
利用者さんとのコミュニケーションに悩んでいる方に向けて
「怒らせた・拒否されたときの関係修復の考え方と具体的な対応」
を、やさしくわかりやすくまとめています。
この記事を読むと
- 利用者さんを怒らせてしまったときの対応がわかる
- 拒否された時の関係修復の考え方がわかる
- コミュニケーションの失敗が怖くなくなる
- 利用者さんとの関わりで心がしんどい気持ちが和らぐ
こういった変化が自然に生まれます。
結論はシンプルです。
介護のコミュニケーションは、
失敗しても大丈夫です。
無理に好かれようとしなくてもいい。
関係は、あとから立て直すことができます。
この考え方を知ることで、
利用者さんとの関係に悩む介護職員の心が
少しでも楽になることを願っています。
コミュニケーションでの失敗はよくある
介護のコミュニケーションは、
経験を重ねていても、失敗はよく起きます。
私も利用者さんから
「あの職員さん、嫌い」と言われ、ショックで落ち込んだことがあります。
利用者さんを怒らせてしまったり、
拒否されてしまったりすると、
「もう関係は戻らないのでは」と不安になりますよね。
でも、それで関係が終わるわけではありません。
介護現場では、状況も背景も違う利用者さんと関わるため、
コミュニケーションの難しさは日常的に起こります。
介護のコミュニケーションに悩むことは、
誰にでもある自然なことなのです。
失敗は取り戻せる

私も、数えきれないほど
介護のコミュニケーションで失敗してきました。
また、他の職員と利用者さんの間で起きた
トラブルや失敗もたくさん見てきました。
しかし、その多くは
丁寧な対応や謝罪によって関係を修復することができます。
人と人との関係だからこそ、
誠実に向き合えば、関係修復のきっかけは必ず生まれます。
利用者さんを怒らせてしまったり、
嫌われたと感じたりしたときも、
あきらめる必要はありません。
コミュニケーションの失敗は、
あとから取り戻すことができるのです。
失敗の取り戻し方
― まずは基本を知ろう ―

介護のコミュニケーションが苦手だと感じていても、
利用者さんを怒らせてしまったり、拒否されたりすることは誰にでもあります。
でも、落ち着いて対応すれば
関係修復のきっかけを作ることは十分可能です。
ここでは、利用者さんとの関係を取り戻すための基本の行動を紹介します。
① 気づいたことを伝える
人は、自分の気持ちに気づいてもらえたと感じた瞬間、警戒が和らぎます。
不安な気持ちをそのままにしてしまうと、
「この人、怖いかも」
「信用できないかも」
という印象だけが残ってしまいます。
たとえば、
「驚かせてしまいましたよね」
「不安にさせてしまいましたね」
このように、
その場で言葉にすることで
「ちゃんと分かってくれる人」という印象に変わり、
安心の土台を作り直すことができます。
② 謝罪する
「すみません」
「申し訳ありませんでした」
この一言だけで、関係が大きく変わることもあります。
利用者さんを怒らせてしまったときや、
拒否されたときでも、
誠実な謝罪は関係修復の大切な第一歩です。
失敗は誰にでもあります。
大切なのは、同じことを繰り返さない姿勢です。
慣れてくると
「これくらい大丈夫だろう」と対応が雑になりがちですが、
この3つを意識するだけで、印象は大きく変わります。
- 立ち止まる
- 動きを止める
- 相手の目を見て謝る
謝罪は、
利用者さんの安心を取り戻すための大切な行動です。
③ これからどうするか「安心の言葉」を伝える
「次からはノックして入りますね」
「扉を開ける前に声をかけますね」
「気をつけます」と伝えるだけよりも、
具体的な行動を伝える方が利用者さんの安心につながります。
利用者さんは
「次はどうしてくれるのか」を知ることで、
安心しやすくなるからです。
この3つで関係は取り戻しやすくなる
- 気づいたことを伝える
- きちんと謝罪する
- これからの対応を伝える
この3つがそろうと、
「怖かった」「不安だった」という気持ちは、
「分かってくれた」
という安心に変わりやすくなります。
コミュニケーションの失敗をなかったことにするより、
丁寧に向き合うことで、
利用者さんとの信頼関係は少しずつ修復されていきます。
失敗を取り戻すのには勇気がいる|それでも向き合う理由
利用者さんを怒らせてしまったり、
拒否されたと感じる相手と関わるのは、とても勇気がいります。
「怖い」
「逃げたい」
「もう関わりたくない」
介護のコミュニケーションがうまくいかないと、
心がとても苦しくなりますよね。
それでも、出勤すれば利用者さんはそこにいます。
避けて通ることはできません。
「嫌い」「嫌われたかもしれない」
そんな関係は、利用者さんにとっても職員にとっても、決して楽なものではありません。
だからこそ、
利用者さんのためにも、そして自分自身のためにも、
少しだけ勇気を出して向き合ってみませんか。
無理に好かれようとする必要はありません。
「嫌い」から「普通」へ。
そこまで関係が戻れば十分です。
逃げずに向き合うことで、
関係は少しずつ楽になっていきます。
勇気を出して利用者さんと向き合うことは、
結果的に自分自身を守ることにもつながります。
利用者さんに嫌われたらどうする?|私の体験談

利用者さんとのコミュニケーションが苦手だと感じていると、
「嫌われてしまったかもしれない」と落ち込むことがあります。
私も、名指しで介助を拒否されたことがあります。
利用者さんの身体のためを思い、車椅子の自走を促していましたが、
「あんた嫌い。他の人に変わって」
と言われて、本当にショックでした。
良かれと思ってやっていたことが、
結果として利用者さんを怒らせてしまい、
関係が崩れてしまったのです。
正直、とても傷つきました。
「嫌われた」と感じて、気持ちが沈んだのを覚えています。
― 私が行った3つの対応 ―
① 利用者さんと話をした
まず、説明不足だったことや
嫌な気持ちにさせてしまったことを謝罪しました。
利用者さんが感じていた辛さや不快な気持ちを聞き、
そのうえで私の考えも伝えました。
難しい言葉を使ったわけでも、
立派な説明をしたわけでもありません。
それでも、
「あんたの考えはわかった」
と言っていただき、
少しずつ関係は落ち着いていきました。
とても勇気がいりました。
でも、そこで関わることをやめなかったことで、
関係は少しずつ変わっていきました。
② 基本的な対応を見直した
関係を修復するために、
利用者さんに安心してもらえる関わり方を意識しました。
利用者さんが
「この人なら大丈夫」と思える対応を
改めて丁寧に行うようにしました。
▶︎ 利用者さんに「安心してもらう関わり方」は、こちらの記事で詳しく解説しています
③ 利用者さんへの対応を統一した
今回のトラブルの原因の一つは、
職員によって対応が違っていたことでした。
利用者さんのためを思った行動でしたが、
他の職員との対応に差があり、混乱させてしまっていたのです。
そこで利用者さんと相談しながら、
職員全体で対応を統一しました。
「自室から食堂までは車椅子で自走してもらい、帰りは職員が車椅子を押す」
という方法に決めました。
利用者さんも
「行きはまだ力あるから頑張る」と納得してくれました。
その後、関係はどうなった?
最初は「嫌い」と言われていた関係でしたが、
その後、少しずつ関係は改善していきました。
利用者さんから
「あんたは厳しい時あるけど、間違ったこと言わへんからな」
「色々、身体のこと考えてくれてる」
と言っていただき、
今では身体の状態のことや、
困ったことがあると相談してくれるようになりました。
チームで失敗をフォローするという選択肢

利用者さんへの対応は、職員によって違う場合があります。
それぞれ職員の考えがあっての行動ですが、
「職員Aさんは手伝ってくれる。いい人やね。」
「職員Bさんは手伝ってくれない。冷たい人。」と、
利用者さんの受け取り方が変わってしまうことがあります。
このように対応がバラバラだと、利用者さんを混乱させてしまい、
コミュニケーションのトラブルにつながることがあります。
ときには、その違いが原因で
利用者さんを怒らせてしまったり、拒否されてしまうこともあります。
そのため介護現場では、
「利用者さんへの対応をチームで統一すること」
が大切になります。
コミュニケーションで問題が起きたときは、
一人で抱え込む必要はありません。
例えば、こんな選択肢もあります。
- チームに相談する
- 記録に残す
- 職員同士で対応を共有する
介護のコミュニケーションが苦手だと感じていると、
「自分が悪かったのかもしれない」と一人で抱えてしまいがちです。
でも、利用者さんとの関係修復は
チームで支えることもできるのです。
私が失敗したとき、利用者さんへの対応を統一したのも
私一人で決めたわけではありません。
「どう対応したらいいか分からない」と相談した結果、
職員みんなで話し合い、対応を決めました。
失敗はのちに「経験」となる
介護のコミュニケーションが苦手だと感じていると、
利用者さんとの関わりで失敗したとき、大きく落ち込んでしまうことがあります。
昔の私は、チームで対応することもとても苦手でした。
傷ついて、どう動けばいいのか分からず、
気持ちの整理だけで何日もかかってしまうこともありました。
でも今は、
- 何が起きているのか
- 誰に伝えるべきか
- 次に何をすればいいのか
この順番で考えられるようになりました。
これは才能ではありません。
慣れと経験の中で身についた「対応の技術」です。
- 感情と事実を分けて考える
- 一人で抱えず、チームで共有する
- 利用者さんと向き合って話す
- 職員の対応を統一する
- 記録に残す
コミュニケーションが上手だからできたのではありません。
「どう対応するかの型」を知っているだけなのです。
今できなくても大丈夫
特に難しいのが、
「感情と事実を切り分けて考えること」だと思います。
- 感情に引っ張られない
- 問題を「人」ではなく「状況」として見る
- 利用者さんの気持ちと職員の意図を分けて考える
これは簡単なことではありません。
でも、少しずつできるようになると、
介護のコミュニケーションで悩んだときの心の負担は大きく軽くなります。
できることからで大丈夫
すべてを一度にできなくても大丈夫です。
誰かに相談する。
記録に残してみる。
どれか一つでもできたら、
状況は少しずつ変わっていきます。
焦らなくて大丈夫。
利用者さんとのコミュニケーションで悩みながらも、
あなたは今、ちゃんと前に進んでいます。
心がしんどいときは、無理に関わらなくていい

利用者さんとの関わりがうまくいかないとき、本当に精神的につらくなりますよね。
介護現場では、誠実に丁寧に対応していても、
心が深く傷つく出来事が起こることがあります。
- 強い口調で怒られる
- 理不尽な言葉を投げられる
- 手を振り払われる
- 身体的な接触を受けることがある
こうした出来事が続くと、
本当に精神的にしんどくなってしまいます。
でも、これは
コミュニケーションで失敗したと決めつけなくて大丈夫です。
もし引ける状況であれば、
一度その場から離れてください。
利用者さんから距離を取ることも、
自分を守る大切な行動です。
利用者さんも大切ですが、
自分の心や身体も同じように大切です。
そう言っても、
夜勤で一人対応しているときなどは
引くことも離れることも難しいですよね。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶︎ 介護で苦手な利用者さんへの対応|無理せず距離を取る考え方
円滑な関係を築くだけがコミュニケーションじゃない
コミュニケーションの理想は、
お互いに信頼し合い、安心して意思疎通ができる関係です。
しかし介護現場には、
本当にさまざまな利用者さんがおられます。
そのため、
すべての利用者さんと円滑な関係を築くことはとても難しいことです。
人と人には相性があります。
自分にだけ愛想の悪い利用者さんがいる。
逆に、自分とはよく話してくれるけれど他の職員とはあまり話さない利用者さんがいる。
こうした関係は、決して珍しいことではありません。
それは自然なことで、
職員の中に一人でも安心して話せる人がいれば、
利用者さんにとっても大きな安心につながります。
介護のコミュニケーションは、
一人で完璧に築くものではありません。
自分一人で抱え込むのではなく、
チームで利用者さんとの関係を支えることもできます。
新人職員・実習生の方へ
新人職員や実習生のうちは、
利用者さんとのコミュニケーションで失敗してしまうこともあります。
でも、それは決して特別なことではありません。
私も同じように悩み、失敗しながら少しずつ学んできました。
大切なのは、失敗したあとに誠実に向き合うこと。
その姿勢は、きっと利用者さんにも伝わります。
まとめ

介護現場では、利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかず、
「怒らせてしまった」「拒否された」と感じることがあります。
介護のコミュニケーションが苦手だと感じていると、
失敗したときに強く落ち込んでしまうこともありますよね。
でも、大丈夫です。
利用者さんとの関係は、
誠実に向き合うことで少しずつ関係を修復していくことができます。
謝罪をすること、
気持ちに気づいて言葉にすること、
これからの対応を丁寧に伝えること。
そうした小さな行動の積み重ねが、
利用者さんとの信頼関係につながっていきます。
無理に好かれようとしなくても大丈夫。
完璧なコミュニケーションを目指さなくても大丈夫です。
心がしんどいときは、
少し距離を置くことも大切です。
一人で抱え込まず、
チームに相談しながら考えていきましょう。
利用者さんを大切に思って悩んでいるあなたは、
もう十分頑張っています。
どうか、自分自身のことも大切にしてください。
焦らなくて大丈夫。
できることから、少しずつでいいんです。